忘京

 すべてフィクションです。

意味がないことに、意味があるので。

たとえば、きょう、わたしはふと気が向いて、なにか文章を書いてみる。

なにも書けません。

たとえば、世界には速度があります。 光にも、音にも、それぞれ別の速度がある。それが目や耳に届いて、さらには脳に到達するまでにも、そこには速度がある。ひとの神経は、音速よりもずっと遅いのです。町内放送がわんわんと揺らいで響くように、わたしたち…

なんだかひどく眠たいと思っていたら、どうやら、きょうは雨がふっていたらしい。スマホを見るまで、まったく気がつかなかった。もう2ヶ月は外へでていないから。

わたしは、きみの生まれた日を知らない。

飼い猫が死にました。

加害者として生きる、ということ。

あらゆるコミュニケーションは加害であり、人は誰しもが加害者である。 と、センセーショナルな切り出し方をしてみる。

無題(バイト、嘘)

高校生になったら、バイトをしようと決めていた。

無題(選択、背中)

高校一年の秋だった。 数学の課題を忘れた。

言葉と、差別と。

差別と区別、という言葉が嫌いだ。 そんなのは本質的に一緒だと私は思う。

現実に勝てない。つよい。

もしもこの世界が誰かの創作なのだとしたら、それはちょっと無理があるでしょうといいたくなるようなことは山ほどあります。

変わりたくなくなくなりたい。

変わりたいのに、変われない。 私の人生はずっとそんな感じだと思っていた。けれど、最近改めて考えてみると、それはいささか正確ではないのではないか、と思い至った。

注釈:私を除く。

みんなちがって、みんないい。 金子みすゞは言うけれど、そもそも私はその“みんな”の外にいるのではないか、という感覚が拭いきれない。

無題(収納、拒否)

日曜の昼過ぎ、本宮から家に呼び出された。好きな男に振られたらしかった。

無題(本)

私は昔から本を読むのが好きだった。物心ついた頃にはすでに人よりも本との触れ合いを好み、やがて「人見知り」という不治の病を発症した。以来、私に友人と呼べる存在ができたためしはない。その現実から逃れるために私はさらに本の世界へのめり込み、まっ…

恋の話。

高校1年の夏だった。以前から恋愛相談に乗っていた男の子が、付き合っていた女の子と別れた。

おこがましいとは思うけれども。

世界の全部は相対的で、絶対的な指標なんてものは、おそらくどこにも存在しない。本物だとか偽物だとか、結局のところ、そんなのは言葉の上のものでしかなくて、我々がやっているのは「こっちの方が本物っぽい」という相対評価に過ぎないのである。

ただ愛されたいわけではないのです。

恋愛というものには、あまり良い思い出がありません。思い返せば、私の恋愛はいつも失敗続きで、いつもいつも泣いていたように思われます。

はろー、わーるど!

やっほー。 今日はね、あんまり調子がよくなかったから、お布団に包まりながら言葉の虚構性について考えてた。 コトバのキョコーセー。なんだかカッコイイでしょ。

私だけが裸の夢を見た。

最悪だった。猛暑日だというのに、よりにもよって冷凍庫の扉を閉め忘れたまま寝てしまった。

初恋のなごりはやがて死に至る。

「今、生きていて、楽しいですか?」 12歳の私から届いた手紙は、そんな一文で始まっていた。

羨んで心病む。然るのち、死ぬ。

街路を歩きながら、ふと思った。 自分は決して全知にも全能にもなれないと悟ったのは、一体いつのことであったか。

地球より、地球人類へ向けて。

私は長年、自分が地球に取り残された異星人であるかのような思いで生きてきました。 なぜなら、私は地球に取り残された異星人であったからです。